私がのめり込むようになったのは、7年前のソフトバンク戦だったと思います。福岡でコテンパンにやられたソフトバンク打線に対し、あの舞台で7回1/3を無安打投球。それを見てしまったのがきっかけでした。とても興奮してしまったことを覚えています。
ただ、見続けていても、いいことばかりではありませんでした。翌年にはカープ相手にいわゆる4者連続押し出し、翌々年にはスワローズ相手に初回7失点。気づけば、貯金は無くなり、見に行くために複数の消費者金融から借入れをしていました。いや、言い過ぎました、貯金は無くなっていませんし、借入れもしていません。家族からは、もっとコントロールの良い投手がいるのだから、そういうときだけ見ればよいじゃないの、何のための予告先発なの?、と言われることもありました。すみません、これは本当です。しかし、それは恵まれた環境で育ったからこそ言えること。左腕からの奪三振は与四球を積み上げた先にしかない、そのような殺伐とした世界に生まれ育った私には、幼少時代に苦しみながらも輝いて見えた田辺投手や東瀬投手の幻影を無意識のうちに追っていたのかもしれません。
そうして、先日です。雨で順延された第6戦の先発に、あろうことか、心のどこかで、大貫投手をスライドさせずに別の選択肢を期待している自分に気付きました。今思うと、三浦監督の選択は紛うことなく正しく、射幸心に煽られてしまっていた私は愚かでした。
中継ぎ転向、という話が出たときには、とうとう5回のリレーよりも中毒性のあるイベントが毎試合用意されることになるのか、それはとんでもないことになる、当局から規制が入るのも時間の問題だろう、などと他人事のように考えていましたが、やはり規制が入ったのですね。
福岡の皆さん、あの魔球に魅せられるのは、あなたの心が弱いからではありません。誰にも起こりえる脳の病気と言われています。が、福岡の皆さんはおそらく大丈夫でしょう。チームが強いですからね。でも、心のどこかで、5回で7四球の球数99、それでいて失点1の誘惑に取り憑かれることになったのなら、どうか一人で抱え込まずに一緒に応援しましょう〜、刺激的ですよ。