私には忘れられない試合があります。
時は2013年5月。相手はジャイアンツ。場所は新潟。
負けるのは分かっているけどって、誰が見ているわけでもないのにいつものように斜に構えて試合を見ていた私に、その年の新人が、そのハツラツとしたピッチングで、1回からゼロを並べるんです。それはもう信じられませんでした。今でこそ普通に戦えていますけど、その当時はアレでしたから…。
どうせ負ける? そんなの違う、負けたっていい、それでも試合の初めから自分の気持ちに正直に応援した方が何倍も楽しいって、そんな気持ちを何年かぶりに思い出させてくれたんです。それはそれは、目の眩むようなまばゆい閃光でした。(まあ、その試合も結局10回にソーサが打たれて負けたんですけどね…。)
ただ、その光は翌年の開幕戦から、長い間輝きを失いました。
それから何年も私はその輝きの残像をあなたに重ね続けてきました。鳥谷選手にもやられました。もうあの光を見ることはできないのかと思ったことは何度もありました。
でも、火は消えてはなかったのです。今年、若い光がその力を失ったとき、その火を私たちははっきりと目にすることができました。一瞬真っ暗になったチームを救った火。その火が放つのは、前のとはひと味違う、静かな静かな、それでいて力強い光。
大台超え。おめでとう。